構造-四位基台の種類2

内的発展的四位基台

これは、内的四位基台と発展的四位基台が組み合わさったものです。

すなわち本性相内の内的四位基台が発展性、運動性を帯びるようになったものをいいます。

 

ここに発展的四位基台とは、創造目的を中心として主体と対象が授受作用を行い、新生体を生じるときの四位基台を意味します。


四位基台は内外において形成されます。

しかし自同的四基台の場合とは違って、発展的四位基台の場合、同時的ではなくて継時的になります。

すなわち、まず内的な発展的四位基台が形成され、続いて外的には発展的四基台が形成されるのです。

 

内的発展的四位基台は創造において最初に形成される四位基台です。

例えば人間が製品を作るとか作品を作るとき、まず心で構想し、計画を立てます。

次のその構想や計画に従って道具や機械を使用して製品を(作品)を製作(創作)します。

 

そのように構想の段階が先であり、製作の段階が後です。

構想は心で行うために内的であり、製作は道具や機械を使用しながら行うために外的です。

構想も製作も授受作用による四位基台の造成です。

そして構想した結果も新生体であり、製作した製品も新生体です。

ここに構想は漠然たる構想ではなく、一定の製品を製作しようとする明確な目標に基づいた構想です。

製作の場合も同じです。
 

したがって構想段階の四位基台はいずれも目的を中心とした四位基台です。

そのように目的と新生体を伴った四位基台が発展的四位基台なのですが、それが内外の二段階として形成されます。

初めの構想段階が内的発展的四位基台、次の製作段階が外的発展的四位基台なのです。
 

人間の制作活動において、まず構想が立てられるのは、その原型が「原相の構造」にあるからです。

 

それがまさに本性相の目的を中心とした内的性相と内的形状の授受作用であり、ロゴスを形成する内的発展的四位基台なのです。

そのように、原相の内的発展的四位基台が被造物のすべての内的発展的四位基台の原型になっているのです。
 

それでは本性相内の発展的四位基台に関して、さらく詳しく説明します。

そのために「中心=目的」、「主体=内的性相」、「対象=内的形状」、「内的授受作用」、「結果=構想」などの項目に分けて説明してゆきます。

 

1.中心=目的

内的発展的四位基台の中心は目的(創造目的)ですが、それは心情、すなわち愛そうとする情的な衝動に基づいた創造目的です。

 

そのように神様の創造は真情を動機としているために、創造の目的を愛の対象を立てて、被造世界に愛を実現することなのです。

そうすることによって神様は喜びと慰めを得ようとされたのです。

 

人間は神様の直接的な愛の対象として造られ、万物は人間の愛の対象として造られました。

したがって人間の被造目的は、人間が互いに愛し合い、万物を愛することによって、神様に喜びと慰めを与えることにあり、万物の被造目的は、互いに調和しながら人間に美と喜びを与えることにあるのです。

 

2.主体=内的性相

内的発展的四位基台において、主体の立場にある要素は内的性相です。

 

内的性相とは知情意の機能ですが、この三つの機能はそれぞれ別個の独立した機能ではなく、互いに連結されています。

知的機能にも情と意が含まれており、情的機能にも知と意が含まれており、意的機能にも知と情が含まれているのです。

 

すなわち三つの機能は統一されていて、その統一体がある時は知的機能をより多く発揮し、ある時は情的機能をより多く発揮し、ある時は意的機能をより多く発揮するのです。

知情意の機能というとき、このような性格の三機能として理解する必要があります。

そして内的発展的四位基台形成において、神はこのような性格の三機能を発揮したと見られるのです。

 

3.対象=内的形状

次は発展的四位基台において、対象の立場にある内的形状について説明します。

 

これまで述べられているように、内的形状は本性相内にある形の部分であって、観念、概念、原則、数理などです。

 

観念とは、すでに創造されたか、または将来、創造される被造物の一つ一つの具体的な表象(映像)です。

概念は、一群の観念に共通した要素を心の中に映像化したものです。

原則は、被造世界の自然法則と規範法則などの根本原因となる法則です。

そして数理は、数的原理として自然界の数的現象の究極的原因です。

 

それでは内的形状は、神様の宇宙創造におて、いかなる役割を果たしのでしょうか。

比喩的に言えば、鋳型の役割を果たしのです。

万物はみな霊的鋳型である内的形状に似たものであると見るのです。

 

内的形状は、創造に直接関連したもの、すなわち被造物の直接的模型となったものです。

しかし、そのほかに創造の模型とは無関係な観念、概念、原則、数理はいくらでもあります。

 

例えば「神様」「私」「父母」「美」「理想」「目的」などの観念や概念は、時空の世界に万物として造られることはないのです。

これらは創造と間接的に関連はありますが、直接的に被造物になることはできないものなのです。

 

4.内的授受作用

本性相内において、新生体の形成のための授受作用によって内的発展的四位基台が形成されますが、そのときの授受作用が内的授受作用です。

 

この授受作用は、内的性相である知情意の統一的機能と内的形状との創造目的を中心とした授受作用です。

 

この内的授受作用は要するに「考えること」「思考すること」「構想すること」を意味します。

すなわち、記憶、回想、判断、関心、計画、意見、理解、想像、推測、推理、希望、思索、瞑想、解釈などの心の作用です。

甚だしくは妄想までも心に現れる現象であるために、やはり考えの概念に含めることができるでしょう。
 

このような心の現象(考え)は、過去に経験したことに対する考え、現在の状況に対する考え、そして未来のことに対する考えの三種類に区分することができます。

 

過去に経験したことに対する考えとは、記憶に関することであり、現在の状況に対する考えとは、意見、推測、理解などに関することであり、未来のことに対する考えとは、計画、希望、理想などに関することになります。

 

ここで指摘すべきことは、いかなる考えも、あらかじめ心の中に一定量の観念(映像)が入っていなければ成立しないという事実です。

そのような心の観念はひとえに経験を通じてのみ形成されます。

すなわち、私たちが目を閉じても、心の中で鳥を考え、花を考えることができるのは、実際に過去に鳥や花を見た経験があるからなのです。

 

以上、考えとは心の中で行われる内的授受作用であることを明らかにしましたが、それは授受作用であるために目的が中心となっています。

人間の考えには目的のない漠然としたものも少なくありませんが、神は創造の神であられるので、神の考え(構想)には初めから目的がありました。

それがまさに心情に基づいた創造目的なのです。
 

神が創造を考える前段階、すなわち心情を中心とした「自同的四位基台」だけの段階もありましたが、心情は抑えがたい情的な衝動であるために、自同的四位基台の上に必然的に創造目的が立てられ、「発展的四基台」が形成されたと見なければなりません。

そのように神様の構想は、目的があって立てられたのです。
 

これは、とても重要なことを示しています。

なぜならば、これもまた現実問題解決の重要な一つの基準になるためです。

 

すなわち人間は、いかなる考えでもするようにはなっていないこと、本然の人間においては、必ず心情を動機として、創造目的の達成のために考えるようになっていることを意味するのです。

 

したがって今日の社会的混乱を収拾するためには、自己中心的な恣意的な思考パターンを捨てて、本然の思考パターンに戻り、愛を動機とした創造目的の実現すなわち地上天国実現のために考え、行動しなければならないということなのです。

 

5.結果=構想

内的授受作用の説明の中ではも構想を扱いましたが、それは新生体(結果物)としての構想ではなく、主として考えるという意味の構想、すなわち授受作用としての構想、観念の操作としての構想でした。


しかしそのような構想は、神様が宇宙を創造した言(ことば)としての構想ではなく、ただその前段階にすぎないのです。

 

それは写真と同じような静的映像にすぎず、映画のような生動感のある動的映像ではありません。

それは文字どおりの設計図です。

 

しかし、神様が宇宙を創造した言であるロゴスは生命が入っている生きた新生体であり、生きた構想なのです。

 

ヨハネによる福音書一章にはその事実が次のように書かれています。

 

「初めに言があった。言は神様と共にあった。言は神様であった。この言は初めに神様と共にあった。すべてのものはこれによってできた。……この言に命があった。そしてこの命は人の光であった」(ヨハネ1/1~4)。

 

そのように万物を創造した言は、生命をもった生動する構想体でした。

それは観念の操作の段階で形成された新生体としての緻密な内部構造を備えた新生観念(鋳型性観念)に生命が与えられて、動的性格を帯びるようになったものです。

 

では、いかにして静的な性格をもった新生観念が動的性格を帯びるようになったのでしょうか。

 

内的授受作用における初期と後期の二段階の過程によってそうなったのです。

 

すなわち霊的統覚(知情意の統一体)と内的形状との授受作用に初期段階と後期段階の二つの段階があるのです。

 

その初期段階において、観念の操作によって新生観念(前構想)が形成されます。

そして後期段階において、心情(愛)の力によって知情意の機能が注入され、新生観念が活力すなわち生命を得るようになって、完成された構想として現れるのです。
 

ここで明らかにしなければならないことは、知情意の中に可能性として含まれていた陽性と陰性が、後期段階において表面化されて、知情意の機能の発現に調和的な変化を起こすという事実です。

 

そのようにして完成された構想が神様の対象であるロゴスであり、二性性相を統一的にもったロゴス、つまり「ロゴスの二性性相」なのです。

それがまさに宇宙を創造した言としてのロゴスであり、内的発展的四位基台の結果である構想なのです。