構造-授受作用と四位基台

性相と形状の授受作用

1.相対的関係、授受作用とは

先にも説明しましたが、「性相と形状」「陽性と陰性」の関係を二性性相と呼んでいるのは、「性相と形状」「陽性と陰性」の関係は、共に、同一の存在の両面の形を言い表わしているためです。


では、「相対的関係」とは何か?

これは、二つの要素や二つの個体が互いに向かい合う関係をいいます。

例えば二人の人間が対話するとき、または商品を売買するとき、対話や売買がなされる前に、二人が互いに向かい合う関係がまず成立しなければなりません。

それが相対的関係です。

そしてそのような相対的関係は、必ず相互肯定的な関係でなければならず、相互否定的であってはなりません。

 

そのような相対的関係が結ばれるとき、何かを授受する現象が起こります。

人間は相互に絶えず、言葉、金銭、力、影響、愛などを授け受けしています。

自然界では天体間の万有引力、動物と植物間の二酸化炭素と酸素の交換などが行われています。

そのように両者が何かを与え受ける現象を「授受作用」といいます。

 

 

ところで相対的関係が成立したからといって、必ず授受作用が行われるというのではありません。

両者の間に相対基準が造成されなければなりません。

相対基準とは、共通の基準すなわち共通要素または共通目的を中心として結ばれた相対関係を意味します。

したがって、相対的関係が成立して相対基準が造成されれば、その時に授受作用が行われるのです。


神ご自身の内の本性相と本形状の間にも、この原則によって授受作用が行われています。

すなわち本性相と本形状は共通要素(心情または創造目的)を中心として相対関係を結び、相対基準を造成して授受作用を持続しているのです。

 

本性相が本形状に与えるのは観念的なものと心情的なものであり、本形状が本性相に与えるのはエネルギー的要素(前エネルギー)です。

 

2.合性体と新生体の概念

このような性相と形状の授受作用の結果、合性体または新生体が生み出されます。

合性体とは生存、運動、現状維持などを意味し、新生体は新しく生み出された有形無形の結果物となります。

 

原相内の本性相と本形状が授受作用をすることで、神ご自身もその生存を維持しておられると見ます。

そして先の創造性説明にあったように、無形の結果物”ロゴス”や有形の結果物”万物”を生み出しておられるのです。

 

人間で言えば、心と身体が授受作用をすることで生命を維持し、無形の結果物”思考”や有形の結果物”作品”を生み出すことで、社会活動をしているのです。

 

3.授受作用の特徴は円満性、調和性、円滑性

原相内の授受作用は、心情を中心とするときも、目的を中心とするときも、円満性、円和性、調和性、円滑性がその特徴です。

 

心情は愛を通じて喜ぼうとする情的な衝動であり、心情は愛の源泉です。

したがって心情が中心の時には愛がわき出るようになります。

その愛の授受作用が円満なのです。

目的が中心のときも同じです。

創造目的は心情を土台として立てられているためです。


そのように原相内の授受作用は円満性、調和性、円滑性をその特徴としているため、そこには矛盾、対立、相反のような現象は存在することはできません。

言い換えれば相互作用に矛盾、対立が現れるのは、そこに心情や目的のような共通要素としての中心がないためであり、愛がないからなのです。

 

つまり外的にいくら授受作用を行っても、愛が中心とならない限り、その作用は調和性、円和性を現すことができず、むしろ対立、相反が現れやすいのです。

 

この原相における授受作用の円和性、調和性の理論は、数多くの現実問題の解決のまた一つの基準となります。

今日の世界の大混乱は、数多くの相対的関係が相反的な関係になっているところにその原因があるのです。

 

すなわち国家と国家との関係、イデオロギーとイデオロギーの関係、共産陣営と自由陣営の関係、民族と民族の関係、宗教と宗教の関係、政党と政党の関係、労使関係、師弟関係、父母と子女の関係、夫婦関係、対人関係など、無数の「相対的関係」が相反現象を現しているのです。

 

このような無数の相反関係の累積が、今日、世界の大混乱を引き起こしているのです。

 

したがって、このような世界的混乱を収拾する道は、相反的な相対関係を円和の関係、調和の関係に転換させることであり、そのためには各相対的関係が神様の愛を中心とした授受作用の関係にならなくてはならないのです。

四位基台の形成および主体と対象

1.四位基台とは何か

性相と形状の授受作用には、これまで述べてきたように必ず中心(心情または目的)と結果(合性体または新生体)が伴うために、授受作用には必ず中心、性相、形状、結果の四つの要素が関連するようになります。

この四つの要素の相互関係は位置の関係です。

 

すなわち授受作用において、中心、性相、形状、結果は一定の位置を占めたあと、互いに関係を結んでいると見るのです。

 

授受作用がなされるときの、このような四つの位置の土台を四位基台といいます。

授受作用は、原相においても被造世界においても、またいかなる類型の授受作用であっても、例外なく、この四位基台を土台として行われます。

したがって、この四位基台は人間を含む万物が存在するための存在基台でもあります。

 

性相と形状が授受作用をするときの、両者は同格ではありません。

すなわち格位が異なるのです。

 

実際、格位とは能動性に関する位置をいうのであって、性相と形状が格位が異なるということは、性相は形状に対して能動的な位置にあり、形状は性相に対して受動的な位置にあることを意味するのです。

 

そのとき、能動的位置にある要素や個体を主体といい、受動的な位置にある要素や個体を対象といいます。

したがって性相と形状の授受作用において、性相が主体、形状が対象の立場になるのです。

 

2.主体と対象の概念

先に主体は「能動的」な位置にあり、対象は「受動的」な位置にあると説明しましたが、これをもう少し具体的に説明すると以下のようになります。

 

主体が「中心的」なとき、対象はそれに対して「依存的」。

主体が「動的」なとき、対象はそれに対して「静的」。

主体が「積極的」なとき、対象はそれに対して「消極的」。

主体が「創造的」なとき、対象はそれに対して「保守的」。

主体が「外向的」なときには対象は「内向的」となります。

 

被造世界において、大きくは天体から小さくは原子に至るまで、このような主体と対象の関係は限りなく多いのです。

 

例えば太陽系における太陽と惑星の関係、原子における陽子と電子の関係は中心的と依存的の関係。

動物の親と子、保護者と被保護者の関係は動的と静的の関係。

指導する者と指導される者、与える者と受ける者の関係は積極性と消極性の関係、または能動性と受動性の関係になります。

 

また家庭生活において、絶えず家庭の繁栄を図る夫は、創造的または外向的であり、家庭を内的に、こまめに切り盛りしていく妻は、それに対して保守的または内向的です。

 

ところで被造世界において、主体と対象の概念は相対的なものです。

たとえ一個体が主体であるといっても、その個体の上位者に対しては対象となり、たとえ一個体が対象であるといっても、その個体の下位者に対しては主体となるのです。